ACOSは広告経由の売上に対して広告費が何%かを示す指標、ROASは広告費1円あたり何円の広告経由売上が発生したかを示す指標です。広告費が2万円、広告経由の売上が10万円なら、ACOSは20%、ROASは5.0倍。どちらも同じ広告成果を異なる角度から表しています。
ただし、ACOSやROASだけでは利益が出ているか判断できません。商品の原価・販売手数料・配送費なども確認して、目標とする数字を決める必要があります。

元Amazon社員
鬼島 智 Satoshi Kijima
2017年にアマゾンジャパンへ入社。販売事業者の支援を経験し、2020年に有料コンサルティングサービスの立ち上げに参画。
プロフィールと記事を見るACOSとROASは、何が違う?
ACOS(エーコス)
Advertising Cost of Sales/広告費売上高比率
広告経由の売上に対して、広告費を何%使ったかを見る指標。
- 単位は「%」
- 同じ条件なら低いほど広告費の割合が小さい
- 商品利益率と比較するときに使いやすい
ROAS(ロアス)
Return on Ad Spend/広告費用対効果
広告費に対して、何倍の広告経由売上が発生したかを見る指標。
- 単位は「倍」(%で示す場合もある)
- 同じ条件なら高いほど広告売上が大きい
- 広告投資の売上効率を比較しやすい
どちらも計算に使うのは「広告費」と「広告経由の売上」です。広告費が同じなら売上が増えるほどACOSは下がり、ROASは上がります。
計算方法を、実際の金額で確認する。
例として、あるスポンサープロダクト広告のキャンペーンで、同じ集計期間に次の成果が出たとします。
広告費
対象期間に使った広告費
広告経由の売上
広告の成果として計測された売上
ROAS
広告費1円に対して売上5円
ACOSの計算式
2万円 ÷ 10万円 × 100 = 20%
ROASの計算式
10万円 ÷ 2万円 = 5.0倍
ACOSが20%であれば、広告経由の売上100円に対して広告費が20円。ROASが5.0倍であれば、広告費1円に対して広告経由の売上が5円、という意味です。
数字が変わると、ACOSとROASはどう動く?
| 広告費 | 広告経由の売上 | ACOS | ROAS |
|---|---|---|---|
| 1万円 | 10万円 | 10% | 10.0倍 |
| 2万円 | 10万円 | 20% | 5.0倍 |
| 4万円 | 10万円 | 40% | 2.5倍 |
| 2万円 | 5万円 | 40% | 2.5倍 |
下の2行は広告費も売上も違いますが、ACOSとROASは同じです。割合が同じだからといって、売上規模や利益額まで同じとは限りません。
ACOSは何%が正解?まず損益分岐点を確認する。
Amazon広告に「ACOSは必ず20%以下」「ROASは5倍以上」という共通の正解はありません。商品ごとの利益構造によって、広告に使える金額が異なるからです。
例えば、1個3,000円の商品を販売する場合を考えます。
| 項目 | 1個あたり |
|---|---|
| 販売価格 | 3,000円 |
| 商品原価 | 900円 |
| Amazon販売手数料 | 450円 |
| FBA配送代行手数料 | 350円 |
| その他の変動費 | 100円 |
| 広告費を使う前の残額 | 1,200円(販売価格の40%) |
この例では、販売価格3,000円から広告以外の費用1,800円を引くと、1,200円残ります。これを販売価格で割った40%が、単純計算での損益分岐ACOSです。対応する損益分岐ROASは「100 ÷ 40=2.5倍」になります。
ACOSが20%なら
広告費は600円。広告費を引いた残額は600円。
ACOSが40%なら
広告費は1,200円。広告費を引くと残額は0円。
ACOSが50%なら
広告費は1,500円。広告費を引くと300円のマイナス。
利益を確保したい場合は、損益分岐点ぴったりではなく、必要な利益を残せる水準を目標にします。新商品の認知拡大など、短期的な利益以外の目的がある場合は判断も変わります。
セラーセントラルでは、どこで確認する?
スポンサープロダクト広告なら、キャンペーンマネージャーの実績からACOSやROASを確認できます。
対象の広告と国・地域を確認する
キャンペーンマネージャーを開き、確認する広告アカウントとマーケットプレイスを選びます。まずはスポンサープロダクト広告に絞ると比較しやすくなります。
集計期間を揃える
画面の日付選択で、直近14日間や30日間などを指定します。前回の実績と比較するときは、期間の長さと広告タイプを揃えます。
広告費・売上・ACOS・ROASを見る
キャンペーン一覧の列設定で、広告費、広告経由の売上、ACOS、ROASなどを表示します。ROASが表示できない場合は、同じ期間の「売上 ÷ 広告費」で計算できます。
商品ごとの利益構造と照らし合わせる
ACOSが損益分岐点を超えていないか確認します。複数商品を扱うキャンペーンでは、商品ごとに原価や手数料が異なる点にも注意してください。
ここでは数字の意味を理解するところまでを扱いました。検索ワードを確認して広告を見直す具体的な操作は、Amazon広告を改善する方法|成果の確認から見直しまでで紹介しています。
数字を見るとき、間違えやすい4つのこと。
1.広告経由の売上と、店舗全体の売上は違う
ACOS・ROASで使うのは、広告の成果として計測された売上です。自然検索などを含むアカウント全体の売上を分母にすると、別の指標になってしまいます。
2.広告タイプが違うと、売上の計測対象も変わる
スポンサープロダクト広告とスポンサーブランド広告などでは、売上の集計対象や広告効果の計測方法が異なる場合があります。数字を比較するときは、広告タイプ、計測対象、期間を確認してください。
3.複数キャンペーンのACOSは、単純平均しない
例えば、キャンペーンAが「広告費1万円・売上10万円(ACOS10%)」、Bが「広告費1万円・売上2万円(ACOS50%)」だった場合、全体のACOSは(1万円+1万円)÷(10万円+2万円)×100=約16.7%です。10%と50%を足して2で割った30%ではありません。
4.売上ゼロの期間や、広告配信直後の数字に注意する
広告費が発生していて広告経由の売上がゼロなら、ROASは0倍ですが、ACOSは分母がゼロのため計算できません。配信直後やデータが少ない期間も、数字だけで配信停止を判断しないようにします。
よくある質問。
ACOS20%は良い数字ですか?
商品によります。広告費以外の費用を引いた後に残る割合が30%の商品なら、ACOS20%で広告後に約10%が残る計算です。一方、その割合が15%ならACOS20%では赤字になる可能性があります。
ROAS5倍と500%は同じですか?
はい。広告経由の売上が広告費の5倍である状態は、比率として500%と表すこともあります。Amazon広告の画面では、通常は5.0のような倍数で見ることが多いです。
ACOSが100%を超えることはありますか?
あります。例えば広告費2万円に対して広告経由の売上が1万円なら、ACOS200%、ROAS0.5倍です。広告費が広告経由の売上を上回っている状態です。
ACOSとROASは、どちらを重視すればいいですか?
同じ広告費と広告経由売上から求めるため、基本的にどちらを選んでも広告売上に対する効率の評価は変わりません。利益率との比較にはACOS、売上倍率の説明にはROASが使いやすいでしょう。
TACOS(タコス)とは何が違いますか?
TACOSは、広告費を広告経由の売上ではなく、自然検索なども含めた全体売上で割った割合です。ACOSと分母が異なるため、同じ数字にはなりません。
最後に、数字の見方を整理する。
ACOSとROASを確認するときのチェック
- ACOS=広告費 ÷ 広告経由の売上 ×100
- ROAS=広告経由の売上 ÷ 広告費
- ACOS20%とROAS5倍は同じ成果を示す
- 適切な水準は商品の原価・手数料・利益目標で変わる
- 比較するときは広告タイプ・期間・売上の計測範囲を揃える
ACOSとROASの意味がわかると、広告の成果を比較する際に「数字が良い・悪い」だけでなく、「自社の商品にとって適切か」という視点を持てます。
広告の数字は見えている。でも、改善につながらないとき。
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IRUNEの運用支援を見る参考:Amazon Ads公式情報
記事内の金額は説明用の例です。広告画面の表示や計測方法は、広告タイプ・アカウント・仕様変更によって異なる場合があります。
